2000.12.27 渋谷 Egg-man
「Y's Factory vol.1」
Reported By Sashimi


20世紀最後の山石敬之ソロライブ。

中央にセットされているキーボードはRoland A-90ひとつだけ。(後方にラック有り)
それを囲むようにステージ上には銀のフィルムを掛けた看板のようなものが設置されている。
SEの流れる中、黒いリボン付ブラウスに深黄色のジャケット、黒のベロアっぽいパンツという衣装で山石さんが登場。客席から拍手が起こる。
♪Street Runner
♪贈り損ねた花束
−MC−
山石「私Egg-manには十何年出ているんですけど、一人でEgg-manでやるのは初めてのことです。いつもはバンドやってるから、みんなの視線があちこちに行ってるんですけど、今日はみんな俺を見てやがる(客席、笑)あんまり見ないでね、恥ずかしくなっちゃう。(笑)
これでも私は沢山曲作ってるんです。今まで作ってきた曲たち、なんていうのかぁ…歌供養?(客席、笑)ちょっと違うか。奉納?違うなぁ(客席、笑)今日は今まで作ってきた曲、普段歌えないような曲を歌い倒したいなと思いまして、100曲以上あるから曲選びが大変なんですけど、一人でやるのに合う曲だけじゃつまらないし、意外な曲もぶちかましたいと。
色々悩んだ末の選曲なんです。
歌いながら泣くかもしれません。(笑)友部も泣くかもしれません。友部っていうのは私の曲の8割方の詞を書いている高校時代からの友達なんですけど。
色々万感の思いを秘めつつ、今日の夜をみなさんと暖かい夜にしたいと思いますので最後までよろしくお願いします」
♪春の雪
♪とても子供だった
−MC−
山石「私は1982年から1989年までスクランブルというバンドでEgg-manを中心に頑張っておりました。渋公まで行ったんです。忘れもしません、1987年4月4日、隣のあそこでやったんです。で(Egg-manに)帰って来ました。
90年から97年くらいまでがタブロウ・ヴィヴァンで、最初は吉祥寺とかでライブやってたんですけど、後半はEgg-manでもやるようになりまして。
で、去年からTKYというバンドをやっているわけです。
18年間バンド活動をやっているわけで、基本的にEgg-manにいるというのがおもしろいなと思います。
凄いしんみりしてみたり、馬鹿騒ぎしてみたり、悔しさとか何もかもがこのステージの上にあって、その時の仲間達の幻影みたいなものがこのステージにはいるような気がします。
ちょっとしんみりしちゃうなぁ〜やばいなぁ〜やっぱり泣くな(笑)あんまりしんみりしてもなんなのでシャキっとした曲をやりましょう」
♪夢が目を醒ますまで
アップテンポな曲に合わせてライトも黄色やオレンジっぽい明るい色に変わる。
♪抱きしめたい
歌い終わり立ちあがって汗を拭く山石さん「一人で汗かいてるぜ(笑)」には客席からも笑い声が。
−MC−
山石「ちょっと悩んだんですけど、クリスマスどうしたらいい?みたいな」
客席「やろうっ!」
山石「ではやりましょう、ありがとう。アフタークリスマスですが。
20世紀最後のクリスマスということであちこちで盛り上がっているようですが、私は私なりに私の歌でみなさんの心に小さな明かりを灯せたらいいなと思ってます。それではこの曲を…」
♪君のドアをノックする
(第1部終了)
 
ステージセットの銀のフィルムが落ち、スクランブル時代からTKYまでの大小様々な山石さんの写真が表われる。
第2部スタートのSEが流れ、黒のロングジャケットとベロアっぽいボトムという衣装に着替えてきた山石さんが登場。スタンドマイクへ向かう山石さんに客席から歓声が飛ぶ。
♪Tokyo Bay City Blues
ブルーのライトが光る中、スタンドマイクで歌い、エンディングではキーボードを弾く山石さん。客席はそれをじ〜っと見入り聞き入っていました。
♪Mistress
−MC−
山石「凄いね、遠くの方見えないかな。なんか自分に囲まれててうっとり(笑)(客席大爆笑)いろんな時代の写真を発掘しまして、展覧会のようですね。よかったら帰りに見て行って下さい。かっぱらわないでね」
客席「え〜!!」
山石「えー!ってどういうことだよ」
客席「欲しい!」
山石「じゃあそのうち写真集でも出しちゃおうか(笑)(客席大騒ぎの盛り上がり)危険なのでやめましょう(笑)」
客席「え〜!」
山石「その気になっちゃう。(笑)でもいつか詞とか今まで書いたものとかを集めて本にしてみたいなーとは思ってます」(客席大盛り上がり)
そして今回のライブではリクエストを募ったという話から、元タブロウ・ヴィヴァンの斎藤紀子=Kikoちゃんを招き入れる。
Kikoちゃんは、胸の所にフリルの付いた黒いシースルーに、スリットが前に入っているベージュのロングタイトスカートという衣装で登場。
リクエストカードを読み上げたあと、二人で恋愛の話などをしつつ、Kikoちゃんメインボーカルの曲 ♪誰よりも好きだった
歌い終わると山石さんが笑顔で「懐かしいねぇ…ぐわ〜っと行くね(笑)」
さらにリクエストカードをいくつか読み上げてから「これも二人の方からリクエスト頂いています」と♪One Scene のオブジェ
山石さんとKikoちゃんのコーラスはやはりしっくりきますね。とってもいいかんじでした。
終了後Kikoちゃん退場。
−MC−
山石「自分の中でも忘れてる曲とかあるんですけど、今回なぜその曲を選んだかというと、やっぱりその曲を歌うとその当時の空気感がよみがえってきたりして嬉しくなっちゃうんです。その当時のバンドの状況とか、どんなこと考えてたかとか、その時辛かったこととか、いい感じだったとか、いろんなことが思い出されるんです。
これからやる曲はね、『おっこの曲やるか!』みたいな…ちょっと待ってね」
とストレッチをするように腕と肩を動かし、「こりゃあ懐かしいや、一人で懐かしがっててすいませんねぇ」なんて言いながら、さあ暴れるぞと言わんばかりに椅子をどかし、ジャケットを脱ぐとブラウスの派手さに客席は大騒ぎ。(笑)「このジャケット、オーダーで作ったんです。今日の日のために」と一言。
♪Hot Place を探して
アップテンポのこの曲では客席から手拍子が起こる。
♪Trial Run では、立ちあがり嬉しそうな明るい顔で歌う山石さん。
鍵盤を弾くというか叩く手にも力が入っているようで、ソロとは思えないようなノリに客席も盛り上がり拍手の渦。
−MC−
山石「Y's factoryというソロ企画をやってみましたが、vol.1ということなので2,3,4と続いていくかなと思うんですけど、ただ昔を振り返ってばかりのライブではなく、ソロ用の曲も作っていこうと思っています。
今日は振り返りたい気分なんです。(笑)
思いきり振り返っておいて、TKYの隙間をついて、Y's factoryの方ではまた別な世界を作っていこうと思ってます。
とにかく今日は、自分の曲を振り返ろうと…。
このステージにはいろんな人の思い出とか、幻というか影というか…隣でマック(福田真國)がギターを弾いてるような…気持ちになれるね、音が聞こえてきそうな…私にとっては大事なライブだったと思います。
このライブがみなさんにとっても同じような気持ちで、私との20世紀を確認していただけたらと思います。ありがとうございました。
今日、この夜を締めくくるために、みなさんと私自身のために…」
♪ここに立てば星は輝く を歌い出すが、いきなり「間違えた!」と言ってなんと曲を止めてしまうハプニング。客席は大騒ぎ。(笑)
やり直しの♪ここに立てば星は輝く
もの凄く気合の入った歌い方に、客席は引き込まれるようにじ〜っと聞き入っていました。
歌い終えた山石さんが前へ出てきてお辞儀をすると客席から大きな拍手が送られました。
 
<EC1>
アンコールは、薔薇の花を抱えた山石さんが客席に降り、一人一人に手渡しで薔薇をプレゼントするという始まりでした。よく見ると、ステージ後方には星のようなイルミネーションがついていましたね。
−MC−
山石「最近みなさんとふれあいがないもので、今回は20世紀最後ということで、お一人お一人に薔薇を渡したかったのでお時間を取りました。
その薔薇に書いてあるんですけど…クリスマスソングがありまして、エンディングでみなさんにコーラスをしていただくという企画がありまして…メロディはね…」
とピアノを弾き、コーラスの部分を歌詞指導して歌う山石さん。
その流れから ♪Christmas Card
エンディングのコーラスでは客席のみんなの声がEgg-man内に広がっていました。
−MC−
再びKikoちゃんを呼び入れてから、
山石「タブロウ・ヴィヴァンの解散の主たる原因なんですが、私の長年の相棒でギタリストの福田真國がちょっとアメリカ行ってくるって、ちょっとのはずが何年経ったんでしょう。
大学に入って単身アメリカで勉強してるらしいんですが、人間やって出来ないことは何もないですね。マックの渡米のあと本当にいろんなことを考えまして、人生はいつでもやり直せるなと思いました。だって、いつか日本に帰って来たら彼にはまた別の人生が始まるわけですよね。そういう思いきりというか、びっくりしたと同時に価値観を新たに見直すみたいなことを考えるようになりました。
20世紀最後ということで、音だけでも私の長年の相棒のギタリストの音を聞いていただこうと思って…彼がいつも歌っていた曲です」
♪舞い降りた Holy Night
マックさんのギターをバックに、山石さんがメインボーカルを取り、Kikoちゃんのパワーあるコーラス…とても懐かしかったですね。
 
<EC2>
−MC−
山石「私のいろんな音楽人生の…振り返るという意味では自分のためにライブやっているみたいで申し訳なかったんですけども、みなさんの心の中でどこかに引っかかる曲があったでしょうか。
どうしてもこのEgg-manに置いていきたい曲があります。私のために歌わせて下さい。この歌を歌えたことを誇りに思っています。みなさん私の歌に出会えて幸せですね(笑)そんなみなさんと出会えた私は本当に幸せでした」
♪My Age
ラストのサビはピアノを弾く手を止めアカペラに。
両手を広げ、感情込めて力強く『 My Age 僕等の声が My Age 届くだろうか…』と繰り返し歌う姿がとても印象的でした。


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